B&Gな日々

B&G財団っていう団体のスタッフが書く、徒然なるブログ

小さくても人が集まる機能を大切にしたい!

海洋センターを活用した地域コミュニティの再生に関するモデル事業
北海道 積丹町(積丹町B&G海洋センター)10月レポート

B&G財団事業部 大関真理子


今年度からB&G財団が新たに取組みを始めた「地域コミュニティの再生・活性化事業」について、夏を過ぎた現在の北海道積丹町の様子についてお伝えします。

積丹町は人口2,300人の小さな町ですが、総面積は積丹町半島の約4分の1にあたる238.21㎢と、とても広い面積を持ちます。夏場はウニ漁が盛んで、観光客も多く大変賑う町です。
毎年恒例の味覚まつりには2万人を超える観光客で賑わいます。

 

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モデル事業で生まれ変わったロビー。明るいキッズルームに子供たちの声が響きます

 

 

変わりつつある海洋センター


積丹町は他の市町村同様に少子高齢化が進み、子供の数は0~5歳児で82人(2014年度)。
学年で考えるとかなり少ない事がわかります。子供が生まれても近所に同年代がいないという状況、子育て世代に必要な“ママ友”グループがなかなかできない現状がありました。


そしてこの夏、「海洋センターを活用した地域コミュニティの再生に関するモデル事業」によって、
海洋センターのロビーが写真のように生まれ変わりました。

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机とイスしかなかったアリーナ入口右のスペースに、明るいキッズスペースが完成。この様子は広報誌や口コミで広がり、毎日、就園、就学前の子供たちが集まるようになりました。

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キッズスペースの評判は、口コミでどんどん広がっています

 

キッズスペースを利用されているお母さんからは、このような声が・・・。
「以前も海洋センターを利用しましたが、幼い子が過ごす環境ではなかったので利用は控えていました。

しかし、キッズスペースが設置されてからは、頻繁に利用しています。海洋センターには常に人(指導者や他の利用者)がいるので、親が少し目を離しても地域の方々が見てくれるので、ありがたいです」
「普段顔を合わせる事のほとんどないお母さんと、ここで会うことができました!」
「遠方に住んでおり、日頃、海洋センターのある美国町のお母さんと会うことが少ないので、言葉を交わす良い機会になりました」

また、入口を入って、正面右側のスペースには・・・きれいな書棚が!

 

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かつてはベンチが置かれていた場所でした

 ↓

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完成時の本棚。まだ静かな光景ですが・・・・

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いまでは、放課後になると小学生が自然に集まるようになりました

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キッズスペースは小学生でも嬉しいもの。
小さい子がいない時間は小学生の憩いの場になっています。

 

小さな町の住民が集う施設として

キッズスペースや本棚に 集まる子供たちの写真を見て、「児童館なの?」「図書館になったの?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、積丹町には皆さんの町にはある「公 民館」も「児童館」も「図書館」もありません。それらの機能が海洋センターに集まると、自然に人が集まるものなのですね。

こうした取組みを始めて半年、小さな町のママさんたちからは、こんな声も聞こえてきています。
「小学校、中学校へ進んだ際、塾へ通うことができるのだろうか・・・」
「子供が集団の中で生活する機会が少ないので、小学校へ入学した際に対応できるか不安です」
「自分の子供と同い年の子が少ないようなので、友達ができるかしら・・・」

これまでは、こんな子育てに対する不安の声も海洋センターには届いてきませんでした。でも、キッズスペースや本棚を介してこのような声が届くようになった今、ママさんたちの言葉をしっかりと受け止めながら海洋センターとして何ができるか考えて行きたいと思います。

このような現在の状況は、“住民の集合体を活性化できた”とまでは言えませんが、少子高齢化が深刻だからこそ、小さくても人が集まる機能は重要な役割を担っているのです。
その拠点として、全国のモデルになるような取組みに繋げていきたいと考えています。

今後は更に口コミで、子育て世代、子供たちの利用者が増え、新たなグループがいくつもできていくことを期待してやみません。規模は小さくても、そこに集まる“仲間”は子供の成長にとっても、ママさんにとっても必要不可欠なものです。

・・・ だから、これまで海洋センターを利用されなかった方々にもどんどん利用していただき、新しい友達づくりに活用してもらうために知恵を絞らねば! 海洋セン ターでできたグループが発展して、地域で自由な活動を展開できるようになることを目指して、これからも努力していきたいと思います。